甘いカスタードは食べられないなって思ったけど、
「日和ちゃん」
財布を手にしたあたしに声が掛かる。
「なーに、馨君?」
大体は分かるさ。
どうして、この空間にあたしとみんなしか
居ないかぐらい。
「たい焼き嫌い?」
馨君は首を横に振った。
「あんまりしんみりは嫌だなっ。
たい焼き買ってくるから一緒に
食べようっ!!」
ちゃんと、話を聞こうと思ってるよ。
「俺、あんこしか食わない主義。」
慶詩の分なんて買う気にならん。
「カスタードがいいなっ。」
ナル君、やっぱり甘いの好きだね。
「俺は行ってから決めるぞ。」
ユウヤ、あんた来る気か。
「・・・・ひよこのおすすめは?」
京様、チーズいいよ。
言われてみれば、この学校を出て
みんなと出かけることなんてない。
「じゃあ、一緒に買いに行きますか?」
休みの日に何をしているのだろうとか
考えることもなかったな?
「みんな仲いいよね?」
一緒に暮らしてるんだっけ?
どういう複雑な家庭事情抱えてるか
知らんけど、7人の男で住む家か。
どんな感じだったっけ?
そういや、もう曖昧にしか覚えてないや。
たい焼き屋さんまでの道のりはホントに
すぐだった。
「おじさん、チーズ焼いて下さい!!」
手ぬぐいを頭に巻いたおじさんは一瞬
ビックリしてあたしにあいよって言ってくれた。
「俺、あんこで」
「カスタード!!」
「カスタードとあんこ」
「やっぱ、ここはあんこか?」
はぁー、仲良すぎじゃないか?

