それから、サユはあたしからちっとも離れなくて
引き離すのに時間が掛かった。
「お、お騒がせしました。」
マコ君によってやっとサユが離れてくれた。
先にマコ君とサユは下に降りた。
「日和ちゃん、大丈夫?」
馨君、こんな時まで紳士だ。
「あははっ、大丈夫!!
手当までしてくれたみたいでっ、
ありがとうね。お家にまで上がって
しまって・・変なところを見せちゃったね。」
サユはああ見えてガラスのハートなのよ。
「そんなことは気にしなくていいよ。」
もう壊してもいいよね。
あたし頑張ったもんね。
「あのねっ、今度暇が出来たらでいいんだ。
マコ君とはどういう関係なのか教えてよっ?」
知って行こう。
あたしの知らないみんなを少しずつ。
驚かずに聞いてあげよう。
待っててあげよう。
にって笑って玄関を閉めた。
外はもう暗くなってきてた。
サユとマコ君とバイクを押しながら
3人での帰り道はそれはそれはいつも
どおりで嬉しくなった。
何も変わってない。
やっぱり、気を張らずに居れる人は
とことん大事にしなきゃっ。
5月もそろそろ終わる。
そっか、もう2か月経つのか。
高校に入ってからありえない日常が
始まってからそんなに経ったんだ。
中学の頃は時間の流れが遅く感じてた。
早く、夏にならないかなって思って・・
秋にならないかなって思って、冬に
なってくれればいいのにと待ち遠しくなる
そして春が来ることを焦がれた。
もうすぐ、梅雨がやってくる。

