どんだけ、探してくれたんだろう。
こんなあたしのためなんかに走って来て
くれたんだろうか?
ドバンっ。
またしても扉が激しく開いた。
そこに現れたのは他でもない伊織君。
「これはまたどういう暴れ方したんだよっ。
慶詩、騒ぎにならねぇー程度にしろって・・」
伊織君、君も走れたのね。
「・・・ねぇ、何でここに来たの?
まっ、まさか、あのガードマン実は裏ボスだったのか!!
それは気付かなかった。
阻止をするべきだったかもしれない。
息の根を止めてやるべきだった。」
オロオロしながらみんなの視線を
横目に狼狽えた。
何だ、この沈黙は!!
誰か、何か喋ってくれよっ。
「・・こいつら、お前がやっ」
ちぃー君の肩を思いっきり振った。
そうだ、明香里ちゃんどうしたんだ?
あの子が心配になって佐藤君と・・
「佐藤選手っ、そうだ。
ちぃー君、佐藤選手が
鼻血っいや違う・・殴られて気絶してっ!!」
それとね、それと・・・
「明香里ちゃんを・・明香里ちゃんを
助けてあげなきゃっ・・・佐藤君頑張ったのに」
自分のことよりも明香里ちゃんを心配した
佐藤君に心打たれたんだよ。
「落ち着けって。」
ちぃー君があたしの背中を優しく撫でた。
「でもっ!!」
これが落ち着いて居られるかって言おうと
思ったのに。
「俺らが来た意味ねぇじゃんか。」
ちぃー君の拗ねた口ぶりにギョッとした。
えっええええええー!!!
何それ。
マジそれ。

