カウンターの裏であたしに手を伸ばしてくれる
ちぃー君に安心した頃。
「何だよっ、この有様は・・・
誰か来たのか?
美男に連絡着きそうか?
あのドチビはどこ行った。
ここじゃ、ねぇのか?」
だから、その声を聞いた瞬間
殺意が湧いて最後の力でボトルを
金髪ヘッドに向かって投げた。
ば、馬鹿野郎!!
何故、来たんだ。
「誰かそこに居るの?」
あたしは聞きたくないって言った
のに、拒絶したじゃんか。
どうして、ここに来た。
「ご、ごきげんよう~!」
手をひらりと振って影から顔を出した。
そこには、みんなが目を丸くして居た。
伊織君のちぃー君が居ないな?
「ヒヨリンっ!!」
「てめー、馬鹿野郎!!何がごきげんよう
だドアホっ!!ごきげんようはとっくに
終ってんだ馬鹿っ。」
「・・・ひよこっ!!」
「ぶ、無事ってわけじゃなさそうだけど?」
「心臓止まるぐらい心配したんだぞっ!」
ごめんね。
あたしのことそんなに心配してくれたんだね。
それなのに、あたしとしたら確かに間抜け
だったかもしれないね。
慶詩が怒るのも無理ないか。
何がごきげんようは結構傷ついた。
あたしにしては笑える冗談言ったつもりで
それでも本当に必死になって探してくれたん
だろうな。
みんな、息が上がって額に光る汗。
ちぃー君だっていつもはボケッとしてて、
絶対に汗かいて走る人でもなさそうなのに
息を切らしてあたしの前に現れたんだ。

