Hurly-Burly 【完】


出所はいつになるんだ。


遠くから聞こえた怒鳴り声に身体が硬直した。

もしかして、大罪人!?

人殺しって卵投げつけられるかも・・・

ファックスで死ねとか送られるかも。

今、考えると酷いことをした。

ガタガタ震えそうになって自分の

肩を抱きしめた。

「何だ、これ・・・」

その聞き覚えのある声に

不安を覚えて目を瞑る。

静かにしてれば乗り越えられる。

明香里ちゃんを信じよう。

待ってれば、きっとここに来て

くれるよね。

「・・・お前大丈夫か。

しっかりしろ、これどういうことだ?」

恐る恐る目を開けるとオレンジブラウンの

髪にいつもはボケッとして眠そうな瞳が眉間に

しわを寄せてあたしを見下ろしてた。

「ちっ、千治君ですよね?」

な、何でここに居るんだ!!

まさか、これは夢なのか?

ありとあらゆる攻防を体験する

シュミレーション付のリアル

夢みましょうシステムなのか!?

綺麗な顔で前髪をうざったそうに

掻き分けてしゃがみ込むちぃー君の

手がゆっくりとあたしの頬に近付いた。

「ここ殴られたのか?」

ちぃー君の冷たい手が頬に当たる。

眩暈がするほどの安心感を得た気がした。

もう大丈夫だろうっていう感覚。

何でここに居るのかはとりあえず置いて

ちぃー君の手の冷たさを確認した。

「ま、まぁ・・・これだけで済んで

良かったというか・・・」

あたしの引っ張られた髪を優しく撫でて、

元に戻してくれる。

ねぇ、どうして来たの?

ちぃー君がこんなところで悪びてるの

想像つかないよ。