それから、明香里ちゃんは涙を振り払って
男たちが出てきた方と逆の扉を開けて駆けだした。
「何だよっ、これどういうことだ?
おめー、何もんだよ。」
大したもんでもないぜ。
佐藤君を後ろに寝かせてあたしはボトルを
投げつける攻撃を再び繰り返した。
佐藤君があたしを守ると言ってくれた
言葉を胸にあたしが佐藤君を守る。
「ぐはっ」
バタバタ倒れていきあたしもパニック状態だった。
部屋に入って来る人が居れば手当たり次第に
剛速球のボトル投げをした。
顔はそこまで見られてなかったと思う。
佐藤君と一応変装した。
そこらへんにあるパーティーグッズを
店の入り口であるところで買った。
あたしは髭に眼鏡にカツラを被ってる。
佐藤君もサンタのおじさんの髭と帽子
を被ってた。
もう無理だと思ってガクガクした膝を
折り曲げてその場に力なく崩れる。
後ろで伸びた佐藤君を見る。
そんなに殴られたわけじゃなさそう?
鼻血が出てるや。
佐藤君の鼻に手を伸ばそうとした時だった。
「オラァァァ」
ドスの効いた声にビビった。
もう動けないよ。
あたしの腕力もそこを尽きた。
腕に力が入らない。
これは明日筋肉痛になってるに違いない。
カウンターの後ろに佐藤君を引きずって隠れた。
心臓の音がバクバクする。
妙に冷静になってきた。
あたし、マズイことしたかも。
ここには来るなって言われて、
正当防衛でもこれは酷い有様だ。
佐藤君や明香里ちゃんが証言人に
なってもあたしは刑務所に・・・嫌なんだけど!!

