Hurly-Burly 【完】


部屋はもう悲惨の言葉しか出ないほどだ。

お酒の匂いで酔いそうだった。

佐藤君を引きずって明香里ちゃんがソファー

の後ろに隠れたことを見計らってあたしの攻撃は

的外れないぐらいに命中が良かった。

コントロールはいいと言われたぐらいだ。

突っ伏す男どもで部屋は地獄絵図だった。

血がそこらへんに飛び散っていて、

傷害事件になるかもしれないけど、

あたしはとにかく必死だった。

必死でボトルに手を伸ばした。

部屋に居たのは10人程度の男で、

あたしに向かってくる男が居た。

「てめぇっ」

向かってくる瞬間足を掛けてやって

転ばせてあたしは背負い投げをした。

「てりゃっ」

踏んづけて男の大事なところを蹴ってやった。

ズボンを脱いだ男も向かって来たから

ボトルで頭をかち割って大事なところを

これでもかってぐらい蹴りつけた。

たまに殴られもした。

ダディに仕込まれておいて良かった。

女は守られるだけじゃないぞって言ってた。

ダディはやっぱりあたしを守ってくれると

言ってたけど、強くなりたいと言ったあたしに

きちんと教えてくれたのだ。

髪を捕まれても絶対に負ける気はしなかった。

あたしに不可能な文字は存在しなかった。

ダディのメンツだけは絶対に潰さない。

「舐めやがって!!」

舐めもするかアホと言いながらボトルを

投げて投げて投げた。

粗方、男どもが再起不能になったのを

見計らって明香里ちゃんに近付いた。

「明香里ちゃんっ!!」

震える明香里ちゃんと意識のない佐藤君。

「ど、どうしようっ・・委員長」

その場に広がる光景はもうあたしがやった

とは信じがたいぐらいだった。