今、あたしに出来ること。
応戦なんて無理よ。
でも、ここにあるものを使えばあたしにも
勝算はあるかもしれない。
佐藤君が鼻血を出して倒れてる。
佐藤君、頑張ったね。
よく立ち向かったよ。
守るって言ってくれたのは嬉しかった。
今度はあたしがあんたを守ってやる。
2人とも死なせはしない。
『後悔するぐらいなら食らいつけ。』
母さんだったら絶対こうしてた。
あたしは母さんの娘だから逃げはしないのよ。
悪いね、佐藤君。
あたし、根性だけはあるんだ。
いつだって逃げたりしないで戦って来たからね。
どんな土壇場だって乗り越えてきた。
あたしに助けも逃げ道も要らない。
進んできた道は茨続きだったから。
もう傷だらけで帰ろうといいんだ。
あんたの根性見直したよ。
ただの爽やかイケメンじゃなかったって
言い張ってやるからな。
『女は愛嬌と度胸よ!』
あたしの度胸を受け取れ!!
やってやろうじゃない。
ただで殴られたりしないわ。
気付いた時にはカウンターの前に立って、
お酒の瓶やボトルを片っ端からあたしの
フルスピード級の怒涛の攻撃が始まった。
昔は剛腕だって言われた。
どうやったら、そんな力で物を投げられるのだ
と兄ちゃんに驚かれるほどだった。
魔球なんてよく言われたものだ。
確実に男たちに命中されるボトルたち。
それはもう悲惨というレベルではなかった。
次から次へとあたしに向かってくる人に
デッドヒートな最高級に重いボトルを
プレゼントしてやった。

