Hurly-Burly 【完】


ぐるぐる店内を回ってもそれらしい女の子

の情報は得られなくて多少諦め始めてた。

もうすれ違い様、帰ってしまったかもしれない。

それとも、あれは明香里ちゃんの幻だったとか。

それあり得るよ。

「さっ、」

佐藤君と言おうとした時だった。

口を押えられまた立場が逆転したのだ。

狭いトイレのある廊下の隙間みたいな

ところに2人で密着24時だった。

「あれ、変だと思わない。

あの部屋・・・人の気配を感じる。」

トイレの辺りをうろつく人も居れば、

トイレの脇にある一つの頑丈そうな

扉を発見した。

佐藤君の言うとおり不気味な部屋だった。

気配を感じるのも確かのこと。

あのうろついてる人は何だろう?

「あそこに居るかもしれない。」

いや、あそこに居なければ多分

もうこの店には居ないよ。

でも、どうしたらいいかな?

あのウロウロしてる人の気が

逸れるようなことが起これば

突入出来そうな気がする。

「俺が気を引くよ。」

そんな大きな勝負出ちゃうの?

佐藤君、考え直そう。

まだ、そんな大きな賭けに出なくても

チャンスがあるかもしれないそう

思ったのに佐藤君がその人に向かおうと

トイレに近付いた時だった。

「おうっ、ひっさしぶりじゃねぇー。

あんねー、今・・そうそう。」

いいタイミング過ぎてハッとなった。

何このタイミングでの電話。

ウロウロしてた人がケータイ片手に

その扉から遠ざかって行く。

こ、これだ!!

この瞬間を逃しちゃならない。