Hurly-Burly 【完】


決して、弱音は吐かなかった。

父さんも母さんも兄さんたちも居なくなった

あの大きなお家で一人残されても決して泣かなかった。

寂しいと言うこともなかった。

何でも出来るようにダディに護身術だって

習ったし、小さい頃から習い事はたくさん

して家事も両立出来るように頑張ったんだ。

「まぁね」

強くありたいと思うようになった。

サユが頼っていいんだよって言ってきても、

マコ君が心配をしてくれても、修平君が

寂しいから来てよと言ってもダディが

いつでもどこでも駆けつけてくれると

言っても、マミーが美味しいご飯を作って

待っててくれてもやっぱりあたしには弱音

を吐けなかった。

心が折れそうな時はジョセフィーヌが

寝静まった頃に1人泣いて。

寂しいって叫んだ。

あたしは強くなりたいんだ。

誰かに頼って生きてちゃいけないんだ。

自分の足で立って行かなきゃこの先

あたしは強く居られない。

「時には頼ってもいいことだってある。」

佐藤君は意外と人を見てるよね。

だけどね、あたしはもう決めたから。

自分で出来ることは自分でやる。

他人を巻き込まない。

「佐藤君、明香里ちゃんのこと

聞いてみようか?」

佐藤君の手を引いて話しかけた。

手当たり次第に制服を着た女の子

が入って来ませんでしたかと?

「・・・そうだね。」

佐藤君の浮かない顔はほっといて、

今の優先事項は明香里ちゃんの確保だった。

暗い店内を歩き回る高校生カップル

って感じで周りには変な目で見られた。

まぁ、ずっとあたしが佐藤君の手を

引いて歩いてるからな。