ボケッとしてても手を動かしていたら
その内終わりが近づいた。
佐藤君は相変わらずの爽やかさでチャラけ
たところが全くと言っていいほどに見つからない。
職員室に出来上がったプリントを持っていく。
佐藤君はさりげなく自分の方が重い量持って
くれて助かった。
「おうっ、悪いね。お疲れさん。」
全然悪気もない癖にと思いながら悪魔一号を
睨みつけていた。
「いいえ、またのご依頼お待ちしてますわ。」
はぁー、職員室や佐藤君の前では気をつけなきゃ。
あたしはしっかり者で通ってるのだから。
これじゃ、二重人格みたいで嫌だな。
教室に戻ると佐藤君に一緒に帰ろうと言われ、
断る理由が全く見つからなかったため市民
図書館までならと言った。
そういえば、今日はよっちゃんにメール
してないや。
あの教室に行けなくなることを連絡しなきゃ
いけないなと思いながら鞄に『地球発掘面白
辞典』を詰め込む。
しかし、この辞典分厚いだけあって重い。
あたしが力持ちで良かった。
絶対、か弱い子には持てないわ。
よっこらせと思いながら鞄を手に
佐藤君と下駄箱に向かう。
佐藤君はかなり一方的に喋ってることが
多くて、それを頷きながらたまに聞いてたり
聞いてなかったりするあたし。
そういえば、ケータイどこだっけ?
うーん、ポケットにはないし。
鞄の奥底にでも眠ってるに違いない。
下駄箱で佐藤君がべちゃくちゃ喋ってる
最中に鞄の奥底に手を伸ばしてみる。
「あっ、あった。」
ケータイを掴むことが出来てちょっと嬉しく
なった時のことだった。
それはいきなりのことで一瞬何が起こったのか
理解出来ずにあたしは絶句だった。

