ちぃー君が嫌そうな顔して、
「・・・気持ちわりぃ」
まさに悪かったな!!
あたしの想像筒抜けかよ。
つうか、指退けろ。
ぬわってするの!!
ううん、ゾワッてするの。
生命の危機を感じる。
「それで?」
伊織君が色気たっぷりに笑う。
振り出しに戻った。
「か、カーテン変えた?
薄い緑色って素敵なセンスだと思うよ。」
何を言わせたいのか分かる。
「そういうことは馨に言うと喜ぶんじゃねぇーの?」
やっぱり、馨君のセンスだったか。
それにしても素敵だと思うよ。
「そ、そうだねっ。
でも、馨君しばらく話してなっ・・・」
2人の視線を感じて焦る。
あれ、これは言っていいことだった?
「そんで?」
実は知ってるんだ。
最近、みんな至るところに傷がある。
掠り傷とかであまり目立たないように
しているらしいが。
伊織君にだってある。
首とか捲り上げられた腕とか・・・
「何が言いたいの?」
それを心配しながらも何があったか
決して聞かないあたし。
それはやっぱりあたしが知ってる世界
とはかけ離れてる。
近寄ってもあたしが何とか出来るほどの
ことでもないのだ。
何も知らないフリをしてればいつもどおり
楽しい放課後がやってくる。
それでいいと思ってしまっているのだ。
聞くことが怖いというより拒絶される
方がずっと怖かった。

