サユもそこまで女友達が居るわけでもなく、
大抵あたし意外と喋ることはあまりなかった。
マコ君はサユの優しさについて語った。
一歩通行でも何でもその演説のような
語りをすることは止まることなくだ。
サユのいいところをここまで言える男が
今まで現れたことがあっただろか?
クラスでも誰とも仲が良いマコ君。
誰に対しても優しいと噂をする女の子
たちにまで優しいのにサユ一人を大事
に出来る男なのかと思ったらやっぱり
仲良くは出来なかった。
サユを傷つける人かもしれないと
思ったらマコ君の話を聞いてるのも
嫌だったかもしれない。
サユが休んだその日。
あたしはペアになる人が居なくて、
体育を休もうかと思った。
校庭に広がるクラスのみんなを
木陰にサユが居ない日はつまらない
とそう思った。
パスをするクラスのみんなをこっそりと
見ながら地面に絵を描いた。
サユは熱が出ていたっけ?
辛くないだろうか?
帰りには何かゼリーでも買って
お見舞いに行こうか。
そんなことを考えてたからだろう。
あたしに近付いてくる人影を
気にすることもなかった。
「日和ちゃん」
いつからそう呼ばれだしたのかは
定かじゃない。
「俺と田中のペアになろう?」
顔を上げれば学校1のビューティーフル
フェイスの癖に笑顔で顔が崩れた横山
誠人が田中と呼ばれるちょっと不良ちっくな
坊主頭と一緒にやって来てた。
坊主と言ってもそれほど顔が悪い男でもなく、
にんまり笑うと女子が数名気絶するほどのヤツだった。

