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あれはいつだったかな?

サユが珍しく風邪を引いた日のこと。

あたしにはサユ以外の友達は居なかった。

でも、体育でパス練習があってどうしても

誰かと一緒じゃなきゃ駄目だったんだ。

委員長はやっていなかったけど、

その当時は勉強以外はとくに興味もなく

クラスからもそれほど目立つ存在でもなく

ただただ地味に存在してた。

学校で一番カッコイイと噂をしていた

横山誠人という名前は全校生徒からの

噂が流れるほどだった。

ファンクラブも出来るほどのイケメンだと

あたしも確かに思った。

最初に喋ったのはサユのことだった。

「永瀬さんの友達だよね?」

そんな会話を素通りしたっけ。

あれは本当に酷いことをした。

その当時サユはモテっぷりを本領発揮

しまくりだった。

どうせ、サユに言い寄る男の一人だと

思ったんだよね。

「永瀬さんって優しいよね。」

いつも一方通行だった会話を

するマコ君に無反応だった。

「この前、怪我した時に保健室

で手当してもらったんだけど、

お、お、お礼が出来なくてさ・・・」

いつだって、サユの話を持ち出してきた。

純情な男ってすごいと思った。

一途というか何と言うか。

中学3年間サユとマコ君とは一緒だったけど、

1年ずっと片思いしてるマコ君はモテ男の癖に

サユをひたすら思ってる一途な男だとそう思って

はいたんだ。

サユの美麗に恋した男かと思った。

美人なら誰でもいいもんだと思ったのに、

サユのいいところを限りなく言えるマコ君に

驚きすぎて転んだ日もあった。