Hurly-Burly 【完】


ユウヤがいくつか種類を告げるもあたしが

好きなものは決まっていた。

聞く前からそれは必ずあるものだと思っていた。

「「オレンジ」」

言葉が重なって横を見ればちぃー君がボケッと

突っ立っていた。

前髪にかかる髪がうっとおしいみたいで、

目つきが明らか不機嫌。

ふわふわの髪は天パなのだろうか?

「オレンジ好きなの?」

その髪がオレンジブラウンの明るい色だ。

「お前は?」

そう聞かれるとは・・・

いつもボケッとしてるし、聞いてないと思った。

ユウヤが下僕のようにジュースを両手に抱えて

戻ってきた時にお金を差し出した。

「はー、要らねぇよ。」

ダイナマイトユウヤは受け取らなかった。

「いや、何か気持ち悪いから受け取って。」

そういう貸し借りっていうのは作らない主義。

「ヒヨリンの気持ち悪いってのすげー傷つく。」

それ、最近よく言われるよ。

よっちゃんとゲームしてた時毎度負ける

よっちゃんが何度も誘ってくる時とか

体育で華麗なシュートを決めてポーズを

取ってくる不良メンバーズに冷めた視線を送る。

「いいって、こんなの大したもんじゃねぇーだろ?」

そういうわけには行かないのだ。

「付き合ってくれるお礼だと思って?」

馨君がいよいよ本気モードで眼鏡を

掛けてしまうのでときめいた。

「じゃあ、返さないよ?

言ったことに二言はないね??」

ユウヤはほれと言って缶のオレンジジュース

を投げてきた。

「落とすとこだったじゃないか!?」

全く、本当にあたしをなんだと思ってるんだ。

キャッチャーじゃないんだぞ。

それを酷いじゃないか。