Hurly-Burly 【完】


ええええええ!!

そんなことってありですか!?

あたしが真面目を卒業なんて・・

これからの物語に支障だしまくりーのじゃないか。

「ぷはっ」

性格を変えるとかちょっと待ちたまえと思いながら

も景色が目まぐるしく変わる。

ホテルを駆け巡る時も外を出た瞬間もドキドキ

しっ放しで、誰かに見つかったらどうすんだよって

言いたくなったけど・・・こんなの初めてだ。

勉強勉強の日々を重ねて目立つことなく地味に

過ごしていたあたしにはこの非行へのカウントダウン

のように駆け降りる階段が分かれ道だった。

ナル君に抱えられたまま降りていく階段の上に

聳えたつホテルを見上げた。

サユが窓から手を振ってる。

自由に解き放たれた気がした。

あたしの心がガタガタと崩れていったあの時と

一緒で何故か心が軽くなった気がした。

「ヒヨリン、いい匂いがする。」

クンクン鼻を近づけるナル君に

ドキッとした。

「ホテルのシャンプーだよ。」

何とも色気のない言葉である。

「つうか、馨どこ行きゃいいんだよ?」

それが謎だったよ。

そういえば、みんなの私服を見たのは

初めてである。

何で、ラフな格好なのにそんなに輝いて見えるんだ。

イケメンは得をするよ。

「ナル君、降ろして。

自分で歩けるから大丈夫逃げはしない。」

ナル君がにっこり笑って降ろしてくれた。

一体、この子の腕力は何なの?

ぷりちぃーな顔でまるで美少女のような

可愛さを放つのにその実態は超力持ちな

男の子だったようだ。

「日和ちゃん」

馨君は相変わらずどこまでも紳士なんだ。

あたしは疑っちゃうぞ。

同い年にはまるで見えない。