あたしを見下ろす2人に少しだけイラっと
しながらもこれから何があるのかさっぱり
分からないあたしは多分間抜けな顔をしていた。
「寒くねぇーか?」
相沢ティーチャーがあたしを見下ろしながら言う。
まぁ、5月ですから。
この格好でも大して不自然じゃない。
「へーきっすよ。」
実は心配性のこの人。
ダディばりだと思う。
「お前、本当に可愛げねぇーな。」
嘘を吐け!!
昔は可愛いと言われたぞ。
「別に何と思われても大して痛くも
痒くもないですけどー。」
早くどこにでも連れて行ってくれ。
「おいおい、会えば憎まれ口しか
叩かないってどうなの?」
村田は黙ってろ!
あ、やばっ。
呼び捨てにしちゃった。
「ヒヨリン」
ガシっとナル君に捕まる。
「ったく、黙っててやるから
早く行けよ。」
相沢ティーチャー。
それ先生としてどうなの?
普通、止めるところじゃないかな。
「ぐはっ」
唖然としていたあたしの手を引いて
ナル君が楽しそうに笑いながら部屋の
ドアを開けて走る。
「ちょっ」
いきなり口塞がれた。
ダイナマイトめ。
息が出来なくなったらどうしてくれる?
「よしっ、そのまま突っ切るぞ。」
はぁー。
もう拒否権はないってわけですか?
あたし、真面目ちゃん卒業危機!?

