Hurly-Burly 【完】


「了解、サユリちゃんは?」

馨君がベランダに出るけど、

「いい、電話来てるから。」

マコ君、どんだけサユに構って欲しいの!?

毎日会って飽きやしないマコ君も立派なもん

だけど、サユのことどんだけ好きなんだよ。

お風呂前にも散々喋ってたじゃないか。

そんなに喋ることなんてあるの!?

「伊織君、女の子と喋る内容に困らない?」

馨君が分かったと言ってベランダから、

部屋に戻ってくる。

「えー、困らねーよ。」

あ、そう。

お前、ある意味天才だよ。

「あたし、困るね。

絶対、うざいと思っちゃうね。

サユの精神力を疑っちゃうね。」

ただでさえ、ダディから毎日電話

掛かってくるのだから。

いつも元気にしてるかって父さんじゃあるまい

根掘り葉掘り聞かれてげっそりだ。

彼氏とやらは一生居なくていいや。

「日和ちゃん、これから外に出るけど

絶対に一人行動禁止ね。」

馨君、あたし子どもじゃない。

「えっー!!それはしおりのルールを

破ってのことか?

それはさすがにイカンよ。」

ワタワタ慌てるあたしに届く低ボイス。

「もうすでにしおりのルール破ってんだろ。」

プハーっと煙草の煙を吐き出す見知った

2つの顔に顔が青ざめていく。

「てめーどこから入った。」

おいおい、さすがにティーチャーにその

言葉づかい出来るのはあんただけだよと

慶詩を見た。

「や、や、やはりあたしはここに居ては

ならんのだよ。」

ベランダの窓を開けようとしたら馨君の

にっこりと笑った目が合った。