隣の部屋の中に押し込まれたはいいものの。
男の子の部屋に来ていいわけない。
こんなことがグレチャー相沢や村田に見つかったら、
あたしは死よりも恐ろしい末路を辿ることに
違いないはずだ。
「世も末だ。」
この危機感をどう顔に出せば良いものか。
「日和ちゃん、ちょっと・・・」
ベランダの柵から飛び出そうとする
あたしを馨君に軽々持ち上げられた。
「やめようね。」
ゴクリ。
馨君が怖いと思ってしまった。
「はーい」
大人しくしてた方が良いということね。
「おめー、目の前で飛び降りようなんて
恐ろしいことすんじゃねぇーの。」
伊織君、あたしの心中を察して。
「すいませんね。」
けど、トラウマになられても困るよね。
でも、そうだ。
サユ!!
「駄目だ、こうしてはいられない。
サユに出かけてくると密書を・・・」
テーブルに置いてあったメモ帳に
しばらく帰りませんと。
「実家に帰る妻かおめーはよ。」
そう言われても心配するでしょーよ。
しかも、ツッコミが痛いんだけども。
あたしの頭をそんな叩くな。
「そんで紙飛行機にしちゃう!?」
だって、伊織君。
「日和、風邪引くからパーカー着て
行きなさいよ。
それから、そこに誰か居るんでしょ?
日和を連れて行くからには覚悟持って
よね。何かあったら本気で殺しに行くから。」
お、恐ろしい子だ。
サユは根っからの優しい子なのに、
こういう時マミーの血が濃い。
息を呑むみんなにちょっと噴出した。

