だけど、いつかはバレちまうものだ。
その時、日和ちゃんが今までどおりに
接してくれるわけがない。
「おめーな、アイツだって分かってんじゃねーの。
だから、余計なことは一切聞かねぇんだろ。
自分が危なくなっても俺たちには絶対頼らねぇよ。」
例えば、流血事件を充血事件だと勘違いする
日和ちゃんが平気で人を殴ってる俺たちを見て
どう思うかだね。
「慶ちゃんはそうやって何でもかんでも
すぐ諦めようとして!!」
ナルだって分かってるはずだろ。
汚いことに手を染めてる俺たちが
日和ちゃんのような子を必要とする
なんて間違ってる。
「俺は諦めねぇーかんな。」
あんな笑顔見たら今更元には戻れないな。
「だったら、バレないようにするしか
なさそうだね。
案外、鈍感そうだし大丈夫じゃない。」
笑ってる顔が見たかった。
ただ、それだけだった。
その顔には似合わない無表情の仮面を
どうにかこじ開けたかったのかもしれない。
出会って、思ったことなんてそれ以上でも
何でもない。
「それは言えてるー。」
伊織が唐揚げを口に放り込む。
そういや、珍しく千治が起きてる。
口を動かしながら前髪をうっとおしそうに
しながらも視線がどうも日和ちゃんの方を
見ている。
オレンジジュースを飲んでる日和ちゃん。
ふとこっちに気付いたのかにこっと笑う
日和ちゃんを見た瞬間ちょっとだけ心が
温かくなるようなそんな気がした。
「千治、箸落としてんぞー。」
慶詩の言葉にボーっとしながら、
箸を拾う千治を見ながら少し不安になった。
コイツが、流血事件を起こした張本人だって
知ったらどうなるんだろうな。

