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said:馨
今日は本当にびっくりすることばっかりだった。
いつもは閉鎖された空間でその存在を改めて
感じることはなかった。
京は無口のわりに優しいところがある。
女が嫌いだと言ってはいた。
だけど、最近の京を見ると少しだけ変わったような
気がしなくもない。
どうして、あの日から日和ちゃんを傍に置いて
居るのかは一番よく分からなかった。
千治は何をしたいのか分かんなかった。
ただ、日和ちゃんを見る目は優しかった。
千治が捻くれてからというもの目つきの
悪さにかなりこっちが参ってた。
「日和ちゃんってはっきりモノを言うよね。」
それが彼女の強さなのかもしれない。
今だって、クラスに馴染んで上手くやって
恵まれた環境で育ったのかもしれない。
少なくとも千治や俺たちのような荒くれ
者とは違う人生を歩んできたんだろうな
「・・・そうか?」
京はいつだって先を考えてるよな。
俺はたまにお前が超人じゃないかって思う。
「そうじゃなきゃ、俺たちみたいなのが
あんな言葉を貰ってもいいのか分からなくなる。」
多分、千治は日和ちゃんのそういうところを
見ぬいてたのかもしれない。
あの日、千治を見て日和ちゃんがどう思った
かなんて分からないけど、千治にとっては
その言葉に何故か救われた気がしたんだろう。
あれから、千治はしばらく大人しくやってる。
きっと、日和ちゃんに嫌われたくないんだろう。
「でも、俺は嬉しかったな。
ヒヨリンに俺らが何をしてるかなんて
知られたくないって思った。」
ユウヤがそう思うのも分からなくはないよ。
今時、珍しい子だよ。
日和ちゃんを気に入ってるのはお前だけじゃない。

