夕飯は洋食で騒がしい宴会会場のようだった。
クラスごととは言え、貸し切り状態だな。
ウチの学校のどこにそんな金があるのか
あたしは知りたい。
「ひよっち」
クルミちゃん、それどう反応すればいい?
手招きされてサユを引っ張って女子テーブル
に着くとさっそくと言っていいほどの質問
攻めにあった。
「ひよっち、今日の話聞いたよ。
小さな男の子に告白されたんだって?」
はぁー、ここでもその話題か。
少し今日の親切心を見直すべきでは
ないかと思うぞ。
「それどこの人に聞いたのかしら?」
どうせ、犯人は分かってるけど。
「あ、伊織君だよ。」
やっぱりな。
あのフェロモン魔導師め。
「ひよっちのそういう話って聞かないよね?」
クルミちゃん、鼻息荒いよ。
「あんまり興味ない。」
恋愛感情なんてあたしには邪魔なだけよ。
そこだけは捨ててるから。
「聞きましたかー、あやっち。
サユリン、この青春真っ只中の女子高生
とは言えませんよね。」
青春か。
そんなの糞くらえよ。
「クルミ、座りな。」
白けた目を向ける彩乃ちゃんとサユ。
おお、もっと睨んでくれて構わんぞ。
「どうしてさ、そんなこと言うなんて
勿体ないよ。ひよっち、可愛いしさ。」
ごめんね、クルミちゃん。
さっきの撤回するわ。
君はとてもいいことを言った。
「もっとこう笑えばいいんじゃないの?」
それが簡単に出来たらいいもんだよ。
クラスに来るとこのへばり着いた仮面が
どうもあたしのフル装備なんだ。

