オレンジブラウンの髪をしたちぃー君の

ビューティーフルフェイスを見てじゃない。

時が止まったのはその気が抜けるような

低くも甘さの残る声。

「お前が怖がらなかったからだ。」

ど、どうしよう。

これは心臓がけたたましくサイレンを

大発動しちゃってる。

小人のおっちゃんもいきなりの仕事に

ビックリで茫然だ。

「こ、怖がらなかった?」

糞、どうしてあんなにカッコイイ顔

してくれてんだ。

そして、その声だ。

ゾッとするぐらいドキドキしてしまう。

「俺らみてーなのは大抵怖がられるか

突っかかってくるかとか普通なんだ。

おめー、みてぇなのは正直予想外だ。

女だと思えばちっともらしくねぇしよ。」

悪かったな、暴力ライオン。

「はみ出しもんよ。

教師も見捨てるほどのな。

そんなヤツらに普通プリント

届けに来るだけのヤツが現れたら

興味湧くじゃねーの。」

悪魔の命令に背けなかっただけだよ。

ただ、それだけで行ったんだよ?

「会ってみたらとんでもねぇー

妄想少女で正直委員長ってふうには

見えなかったけどな。」

ごめんよ、自分の世界によくトリップ

してしまうのはよく注意されるのさ。

「ご、ごめん。そこは否定出来ないわ。

いきなり妄想ブチかまして申し訳なかった

ですよね。」

鮮明に思い出しちゃったよ。

暴力ライオンに追われた日のこと。

まだ、夢みたいだけどさ。

「けど、そういうふうに自分を卑下しない方が

いいよ。みんなすごく優しいではないか。

不良さんだなんて見た目ぐらいよ。

それによっちゃんとかもっくんとか

不良メンバーズの皆様に慕われてる。

何をそんなに怖がるのかあたしには

よく分かんないだもの。」

裏で何をしているか分からないだけで、

表向きのみんなしか知らないだけでも、

やっぱり良いところは人間必ず一個は

あるもんだよね、父ちゃん。