大きなお目目があたしを見つめる。
「お姉ちゃんの子になっちゃうか?」
戯けてそう言うと男の子はウルッとした
瞳を向けてぎゅって抱きついてきた。
「うん。」
いいんかい!!
それにびっくりした。
あたし、まだ15になりたてなのに
いきなり1児の母親になってしまうんか。
背中をポンポン叩く。
「実はね、お母さんと喧嘩しちゃったの。」
眉を下げて悲しそうな顔をする男の子。
逸れる前にお母さんと一悶着あったらしい。
さっきの絵本コーナーに行きたいと
喚いちゃってお母さんを困らせたらしい。
お母さんを振り切って来ちゃったんだと
いう男の子は後悔していた。
「そっか、それじゃ、会ったらすぐ
謝ろうね。お母さんきっと許してくれる。
お姉ちゃんも一緒に謝るから。
ごめんなさいしようね。」
「うっ、するッー!!」
首に腕を回されて小さな体で
精一杯の力であたしを求められた。
「じゃあ、もう一回探そうか。」
笑って男の子と手を繋いで、
もう一度順番に探した。
受付の人にも聞いたり、辺りに
いるお客さんにも聞いてみた。
どんどんお外も暗くなって、
夕焼け色に染まる。
「お母さん、僕のこと嫌いに
なっちゃったのかな?」
男の子が泣きそうな顔をして、
言うから必死に抱きしめて、
「そんなわけないよ。
すごく必死になってお母さんも
探してくれてるかもしれないよ。」
だから、もう泣いちゃ駄目だぞ。
君に泣かれると心苦しいよ。
あたしも一緒になって泣きたくなる。

