Hurly-Burly 【完】


それにしても、ちっともそれらしき人が

見当たらない。

この子が言うには茶色い髪をした小柄の

お母さんらしいんだけど。

小柄な子が今あたししか居ないよ。

手を繋いでぐるぐる探し続ける。

絵本のような絵画があると男の子に

手を引っ張られた。

「これ、可愛いねっ。」

いや、君の方が可愛いよ。

まさにエンジェル。

ナル君みたいに無邪気に笑うんだもの。

癒しに癒されまくりよ。

さっきまで大きな子どもに振り回されて

の後だからもうこの子を抱きしめてしまい

たいよー!!

「あ、お絵かき出来るって。

何か、記念に書いておこうか。」

その子と一緒に座って落書き帳に

絵を書いて見た。

絵本がたくさん置かれているコーナーだ。

「お姉ちゃん、何書いてるの?」

男の子がひょこり顔を近づけてきた。

それにしてもこの子美少年だよ。

ナル君ばりのキューティーフェイスよ。

「ひよこさんよ。」

ひよことにわとりの絵を描くあたしに

きゃっきゃっと笑う男の子。

「上手だねっ、」

手はずっと放さなかった。

寂しがるといけないから。

この笑顔が悲しみに暮れるのを

見たくなかったから一生懸命に

気を紛らわせることを考えた。

それでもやっぱり館内を一通り

探してもお母さんは居なかった。

すごく不安そうにする男の子の

手を優しく掴んだまましゃがみ込んで

その子の不安そうな顔を覗き込む。

もう片方の手をその子の頭に乗せて、

優しく撫でた。