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もう広すぎるんじゃッ、ボケー。
絵画を見ながらこの絵は少し個人的に
好きよなんて思ってると右手を繋いだ
男のが笑ってくれてて安心した。
どうせ、だからただこの子の母親探し
をしててもしょうがないと思って、
絵画を見ながら進んでいく。
2階に上ってピカソみたいな絵と
出くわしたり、すごく綺麗な風景画が
あったり、ちょっとエロちっくな女の
人の絵があったりと刺激も強かったけど、
男の子とすぐに打ち解けられた。
心を許してくれる男の子の手を決して
放さず、優しく握った。
迷子になったら心細いもの。
あたしもその気持ちは分からなくはないよ。
あたしだって小さい頃は迷子になって、
よく父ちゃんが汗だくになって探して
くれたことあったから。
「お姉ちゃんも迷子なの?」
最初にそう聞いてきた男の子に、
「あたしじゃなくて一緒に来た子たちがね。」
あたしの知らぬ内に勝手にどこ行きやがった。
先に帰ってたとか言ったらあたし泣いちゃうぞ。
ブロックンハートよ。
「そうなの?
じゃあ、お姉ちゃん探してるの?」
でも、不安そうに聞いてくる男の子を
抱っこして笑った。
「大丈夫、君のお母さん探してから
探すからね。」
その子の頭を撫でるとすごく可愛く笑った。
素直でとても可愛い男の子だった。
あたしに弟が居たらこんな感じなのかな?
サユの弟の修平君は昔からあまりよく
笑わない大人っぽい子だったけど、
あたしにはたまに見せてくれた。
だから、今この子の笑顔を守れるのは
あたしだけだって思えた。

