Hurly-Burly 【完】


ヒヨリンを大事にしていることは誰が見ても

分かるぐらいでヒヨリンを優しく見守るサユ

リンはヒヨリンのことがどうしようもない

ぐらい大好きなんだろう。

「落ち着いて、これでも飲んで。」

馨が自販機から人数分のお茶を買って

来て差し出してきた。

はぁー、それにしても何やってんだよ。

遅いじゃねーかよ。

いくら、ゆっくり見てるからって

1時間も待たされればさすがに身の

心配もするわけで。

「駄目よ、落ち着いて居られるわけ

ないでしょう。あたし、中に入って

もう一度っ」

京がサユリンに立ちふさがるように、

座り込んで馨の買ってきたお茶に

手を伸ばした。

「・・心配なのは分かるけど、

友達なら待ってる方がひよこの

ためになる。」

京はサユリンにそう言うとお茶の

キャップを捻った。

「ひよこって・・日和よね?」

サユリンがおずおずとお茶に

手を伸ばす。

さっきまで走り出しそうな勢いだったのに、

「そうね、あの子なら例え誘拐されてても

一人で何とかしちゃいそう。」

クスって笑うサユリン。

「サユリちゃんは日和ちゃんと長い付き合い

なんだよね?」

馨が京の横に腰を下ろす。

「まぁね、あたしと日和が生まれる前から家族同士が

仲良かったけど、口を効くようになった

のは小学校に入る少し前だったかしらね。」

サユリンが夕日を見つめる。

ヒヨリンとは違って、大人っぽい

彼女が夕日を見つめてるのは絵になった。

美人ってのは得だって思った。

ヒヨリンがやっても絵にはなりそうに

なくて少し笑えた。