午後は決めていた恐竜博物館から美術館へと
梯子したさ。
恐竜博物館は意外と迫力あって、模型まで
あってすごい感動した。
化石とかもあったし、ダイナマイトがすごい
喜んでいた。
「おいおい、あれ見ろよ。」
「イカすぜー」
「あっち行くぞ。」
一人芝居だな。
あんた演劇部入りなよと思わず言いたくなった。
騒ぎに騒ぎまくってずっと引きずられっぱなし
で体力がだいぶすり減ったに違いない。
ぜーぜー言いながら美術館に入った時は
もう遠くを歩いてるサユに手を掛けようとした。
一人で絵画を鑑賞する美人さんだよ。
栗毛の長い髪をふわりと靡かせて、
スイスイ行っちゃうから追いつけなかった。
「姉さん、お待ちになって。」
楽しみにしてた美術館を迷路のように
進みながらみんなとハグれてしまったこと
にちょっとした危機感を覚えていた。
どうしよう、美術館の人に迷惑をかけて
犯罪行為に走っちゃいまいか。
た、大変だ、そんなことになったら
あの悪魔に叱られる。
脅されて精根つくまで絞り取られる。
そんなあたしは血眼になって探したさ。
だけど、同じように逸れたのか小さな
男の子が泣きそうになりながらあたしを
見つめてきた。
ぎゃー、犯罪級の可愛さですよ。
くりくりのお目目からは涙が零れる。
あたしは、オロオロしながらその男の子
に近付いてしゃがみ込んでその子の頭を
撫でていた。
「どうしたの?
お母さんと離れちゃったのかな。
お姉さんも一緒に探すよ。
だから、そんなに泣かないでね。
もう、怖くないよ。
きっと見つけてあげるから。」
グスンと言いながらあたしを見つめる
男の子に笑いかけた。

