Hurly-Burly 【完】


目の前には運ばれてきた料理の数々。

そして、目の前ではいつものことごとく

興味なさそうに自分の分のリゾットを

食べるサユ。

机に並ばないから席を3つにしてもらった。

もちろん、みんなの席は隣。

物珍しそうにあたしを見る。

「チビの癖に何だその量はよ。」

「どこに胃袋繋がってるのか

疑問が出来るのねー。」

それよく言われるのよ。

人にご飯食べてるところって

あんまり見られたくないんだよね。

「ここにあるぞ。」

そして、胃袋はどこにも繋がってねぇーわ。

人の胃袋をブラックホールみたいな言い方

して失礼だわ。

「日和、緊張してるでしょう?」

うげっ、サユはよく分かってるな。

あんまり大勢で食べるのってないから、

嬉しさが込み上げないように顔に力

居れてたのにな。

サユと食べる昼ご飯を思い出す。

「別にしてないよ。」

パクパクご飯を口に入れる。

あー、もうこういうの慣れないよ。

「日和、トマト。」

フォークにトマトを刺したサユ

があたしの口に放り込む。

「ヒヨリン、トマト好きなの?」

ナル君が隣の席からあたしと

サユを覗き込む。

「えっ、うん。」

もぐもぐ口を動かしてたら、

「じゃあ、はいっ」

えー!!

そ、それって食べろってことか?

何だこのドキドキ感。

男の子にあーんされるとは。

経験値ないよね。