結局、次降りる駅が到着駅だった。
「あの、本当にありがとうね。」
そう優しく笑う女の人見て笑った。
「お元気で。」
お母さんになるんだもんね。
すごいことだよ。
あたしにもそんな日が来るのかな?
いや、まだまだ先のことだよね。
「日和ちゃん、優しいね。」
馨君はにっこり微笑む。
馨君ほどでもない。
「ヒヨリはああいうのほっとけない子だもの。
困った人には手を差し伸べるのが
当たり前だと思って育ってるんだから
優しいってもんじゃ足りないわよ。」
サユ。
あんたとは最初から仲良かったわけじゃ
なかったよね。
「サユでも同じことしたよね。
みんなだって意外と優しいところあるじゃん。
見直したよ。」
そうやって、いいところを見つければいいんだ。
悪いところなんて全部吹っ飛ぶ。
距離も縮む。
「立花ー、歩いて20分だっけ?
飯はどこだっけ?」
ほら、佐藤君もお腹が空いてる。
「ほらほら、行こう。
サユは何食べる?
あたしね、今は中華って気分。」
いい天気で良かった。
「あんた、よく食べるからね。
佐藤が道外れてくよ。」
佐藤君ストップ。
変なところ行くなよ。
こういう行事あって良かったよ。
高校入ってからというもの理想と
は違う形で思い出が増えてくる。
あたしが欲しかったものとして
心に残ってくれればいいんだ。

