Hurly-Burly 【完】


はひー、もう体力持つかな?

ちょっと、不安になってきた。

あ、おばあさん。

荷物持ってて重たそう。

お昼前で電車はそこそこ空いてて、

座れたけど、さすがに何駅か乗ってると

席が埋まって行く。

「あの、どうぞ。」

佐藤君、さりげなくやってのけた。

さすがだよ。

あんた、男として最高ランクだよ。

佐藤君が席を立って少し離れたところに

立って窓からの景色を見てる。

様になってますなー。

おばあさんは嬉しそうにお礼を言って

佐藤君の空けた席に座った。

だから、あたしも見習って、

小さい子に席を譲って佐藤君の隣に立った。

「いいところあるじゃないか。」

そう言うと佐藤君は爽やかな笑みを向けて、

「立花もな。」

あたしの頭にポンと手を置いた。

その仕草は一見素敵なように見えるが

あたしの場合ドキリともするわけなくて、

しかも周りの観客が煩い。

あのコンビ逮捕したい。

「ひゅーひゅー、

青春じゃないさー、

オチビさんに春が到来か!?」

「あの子、ドキっとしちゃった

んじゃないのー。」

他の客に迷惑だね。

嫌な顔されてるじゃんか。

バシッ。

コンビの目の前に立って、

持っていたしおりを丸めて叩いた。

見事な感触だった。

「静かにしようか?

他の客に迷惑掛かるよね。

僕たち分かりましゅか?」

もうキレ味良かったね。