景色はあんまりあたしの住んでる町並みと
そう変わらない。
バスで2時間のところだしそんなに離れてる
わけでもないのだけどもね。
でも、やっぱりあまりあの町を出ること
なんてなかったからすごくワクワクする。
「ねぇ、ねぇ、どこから来たの?」
「お兄さんたち一緒に遊ぼうよ。」
逆ナンってヤツか!!
しかも、結構美人な人に。
絶対年上だろって感じのお姉さま方にだ。
ああ、他でやってくれ。
「サユ、記念に写真撮ろう。
ダディに見せねばっ!!」
あたしはサユと2人の世界を楽しむぜ。
そんなあたしたちに佐藤君はカメラマンとして
着いてくる。
伊織君、フェロモン撒き散らすな。
お姉さま方が腰抜けだよ。
「ねぇ、君お茶しない?」
な、なぬぅ?
あたしかねと思って振り返ると
サユが引きずられていく。
まぁ、あたしなわけないのね。
こういうことはよくあるからな。
いつもサユはその美人さゆえに
ナンパというものをされるらしい。
これは危機よ。
サユちゃんのピンチ。
ここはあたしがひと肌脱がねば。
「失礼。」
サユの場合、あたしが助け出さずとも
力でねじ伏せちゃうけどな。
男の手を捻り伏せちゃうサユちゃんは
最高にカッコイイぜ。
もう一生ついて行きます。
「ヒヨリ、あそこの銅像可愛いね。」
あ、あれは何の銅像だよッ。
すごい、これはた、たぬき?
ぽっちゃりなお腹を丸出しな
憎めないヤツがのほほんと居座る。
確かに、可愛いではないか!!

