Hurly-Burly 【完】


伊織が皿を並べる。

「しかし、あれだな。

ウチのひよこのお嬢さんは、

最近よく笑うようになったな。

あれは気付いてるのか?」

箸を出す馨がクスクス笑ってる。

「気付いてなさそう。

日和ちゃん、鈍感そうだしね。」

そこが可愛いんじゃねぇーか!!

「あの美人さんと親友ってのが

信じられん。」

伊織は狙ってたのかよ。

全く、女好きめ。

「彼氏居んだろ?

確か、チビがイケメンだと豪語してた。」

慶詩がフライパンを操る。

「女はあの子だけじゃないからいいけどね。

今日はハルカちゃんと約束だし。」

伊織の女好きは筋金入りだな。

よく毎日遊んでられるもんだよ。

あー、お腹空いた。

「でも、ヒヨリンがイケメンって言う

とやっぱり相当なイケメンじゃねーの?

ヒヨリンそういうのあんまり言わない

じゃないか。どんなヤツだろうな。」

そう言われると確かに。

テレビを見てても学校に居ても

とくにそういう話題が出ない。

「アイツはイケメンの定義が

分かってねぇって。

どうするよ、すげーマッチョだったら。」

ぎゃははと笑う隣のユウヤを睨む。

「好きなヤツとか居んのかな!!!」

大きな声でそう言ったらみんなの視線を感じた。

ちー、までがフガフガ言いながら俺を見てる。

「いや、居ねぇだろ。」

慶詩がハンバーグをお皿に乗せる。

「まぁ、居たら俺らみたいなのに

関わってる場合じゃないよね。」

馨が冷蔵庫開けながら言う。

そうだよな。

ヒヨリンはそんなヤツ居ないよな。