ちー君、その綺麗なお顔をあたしの背中に
埋めてくるなんてちょ・・・
「刺激が強すぎるぜ。」
ドキドキ半端ないべ。
心臓が口から飛び出しちゃうぞ。
小人のおっちゃんたちが大騒ぎ
してるに違いないぞ。
「・・ちー君?」
君という人はどこまであたしを
びっくりさせれば気が済むんだ。
心臓を毟り取りたいと言うのか?
そ、そんな酷いことを・・・
「少しでいい」
分かったよ。
誰も後ろに居なくて良かったね。
あんたがあたしにはよく分かんないけど
そんな弱ったあんたほっとけそうにない。
気が済むまであんたの盾になってやるさね。
それで、また寝ぼけた顔でもしとけ。
そしたら、このことはあたしとあんたの秘密だ。
「ヒヨリン、今日はいい天気だね。」
ナル君の無邪気な笑顔に救われる。
こんなに心が大乱れになるとは
思ってもみなかった。
「そうだね。」
ああ、雲一つない。
いい天気だ。
どこか、その雲一つない空に
吸い込まれていきたいと思った。
キーンコーンカーンコーンの予鈴が
鳴ってもしばらく動けなかった。
後ろのちー君を心配しながらも、
花壇のみんなに呼びかける。
今日の朝練はどうやら野球部だった
みたいで坊主頭の子たちがわんさか
通り過ぎていく。
まぁ、いいさね。
ホームルームぐらい一回サボっても
あの悪魔に睨まれようとも。
今は君を守りたい。

