その瞬間、ギリっとちー君の力が加わる。
「いっ」
たいとは言えなかった。
その瞳から目を離せそうになかった。
黄色のチューリップを見て、
切なげに揺れる瞳を見逃せなかったよ。
「えー、えげつなっ。
可愛い色だと思ったのによぉ。」
ド金髪が黄色のチューリップから
距離を取る。
「じゃあ、これは?」
次に見せたその色は・・・
「伊織君、あたしのチューリップ
姫を・・・もぎ取るの止めて!!」
あたしが好きな白いチューリップ。
たくさんあった花束の中に一際
たくさんあった白のチューリップ。
思い出すと少し甘酸っぱい。
「それは、思いやりとかって意味も
あるし、思い出の恋っていうのも
あるけど・・一番印象残ってるのは・・・」
いつか、見つけたい。
「新しい恋」
それまで強かった手首の力が急に
抜けて前のめりになって転げ落ちる
と思った瞬間後ろに引かれた。
バランスを崩してその座布団に・・・
「ちー君、何したかったの?」
ちー君の膝の上にちょこんと座った。
他から見たらとてつもない恥ずかしい
光景だと思う。
「マジか、これ取って行こうぜ。」
伊織君、マジで殺す。
あたしのチューリップ姫さんたちに
それ以上手を掛けるな。
周りに誰も居ないことを知ってか、
ちー君の気配を背中に感じた。
ボスっと背中に感じる存在感と
きたら世にも恐ろしいものだった。
鼻が当たってますぜ。

