Hurly-Burly 【完】


ちょっぴり、気になった。

その瞳の奥が何を思っているのか。

どうして、そんな瞳であたしが好きな

チューリップを見つめているのか。

きっと聞いても教えてくれそうにないけど、

その綺麗な瞳が切なげに揺れるのを胸に

刻んでしまいそうで・・・

「ちー君よ、その・・・」

何か会話が出てこないかなと

考える。

「ひーよこのお嬢さん、確かチューリップ

の花言葉って愛だよな。」

伊織君、あんた色気だけじゃなかったんだな。

あたしはそれにびっくりだわ。

あんたがチューリップを摘もうと

してるのを全力で阻止するわ!!

「テーマがな!!

色別に意味が違うんじゃボケッー!!!」

伊織君のところに駆けだそうとしたら

ふと手首に重みを感じた。

視線を動かして手元をこっそり見る。

っげ、

「ちー君、どうしちゃったのかな?」

手首掴まれるとは思ってなかったよ。

しかも、強い力だ。

これは振り切れそうにないぜ。

「行くな」

いきなり夢の中突入ですかい!?

これは何の夢だ。

お花がたくさんあるーじゃない!!

イカンよ、この状況。

「えっ、じゃあこれはどういう意味だ?」

伊織君が黄色のチューリップを掲げ、

「もぎ取るな!!

あたしの可愛いチューリップ姫を・・」

フェロモン魔人に毒されるなんて、

「それは、確か正直とかっていう意味も

あるけど・・・実らぬ恋」

昔、それを貰ったことがある。

たくさんのチューリップの中に

可愛らしく見える黄色のチューリップ。