「んじゃ、部活行ってくるからいい子で待ってろよ?」



放課後。

一緒に帰る為、いつも放課後はイノリの部活が終わるのを待っているのが日課になっている。



「はーい、いってらっしゃい」



部活に向かうイノリ、カンナ、カゼ、ケンを見送った後

席に座り、数学の教科書とルーズリーフを机に並べた。



形だけの予習復習。




「暇だなぁ…」



クラスの中で大人しめな子達が、見た事ないアニメの絵が描かれた雑誌を見ているだけの教室。


外からはどこかの部活の掛け声とボールが跳ねる音が聞こえてくる。




「………旦那待ち?」



聞き慣れたやる気のない声がしたので後ろを振り向くと、サッカークラブのユニフォームを着たカゼが立っていた。




「あれ?カゼ、部活は?」

「………負傷した」



カゼは右足をプラプラ振ると、自分の席に座った。


疲労骨折らしい。




「ほっとくと悪化しちゃうよ?ちゃんと冷やさなきゃ」

「………クセになったみたい」

「もー。だったら余計にちゃんと処置しないとじゃない」



靴下を脱がしてから、カゼが持っていたコールドスプレーをカゼの足に吹きかけ

優しく足をマッサージした。



イノリが部活で怪我をしてしまった時に役に立ちたくて、スポーツトレーナーが読むマッサージや処置の本で知識を身につけていた。



まぁ、イノリにしてあげた事は一度もないんだけど。

彼には無敵という言葉が似合う。




「………水虫じゃないからね」

「分かってるよ。それにカゼを汚い扱いなんかしないよ?」



ちょっと汗くさいけど、黙っておこう…。