屈折カタルシス[短篇]

これほどまでに、愛しく、悲しいセックスを、私達は何度繰り返してきたのだろう。


 
お互いが果てても、重なり合ったまま私達は暫く動かなかった。
呼吸を確かめ、その鼓動を確認するように。



身を離せば、またあの現実が戻ってくる。
だからお互いに怖くて躊躇う。

 

しかし、現実は必ずやってくるのだ。
逃げられない、そんなことわかっている。


 
それでも、逃げていたい。


 
いつも、先に身体を動かすのは兄の方だ。

私以上に覚悟が決まっているから。
あの家を、自分が受け継ぐのだと理解しているから。


だからこそ、私は兄が満足するまで動きたくない。