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僕は将棋が好きだ。


なにがどう好きか。と訊かれたら月並みな答えしか返せないけど、好きなものは好きだ。


だからこの高校に入学して将棋部の文字を見た時は、本当に嬉しかった。


心躍るとこういう事を言うんだろうね。


だから僕は入学初日、早速活動場所として記されてる第二図書準備室に足を運んだ。


準備室の用途を掲げるプレートは黄ばみ静かに古さを語る。


教室の扉を開けると中は薄暗く、陽光に照らされた埃がキラキラと舞っていた。


そんな教室の最奥。


対局相手のいない将棋盤を前に陽光を浴びる一人の女生徒がそこに座していた。


浮かぶ印象は、儚い女生徒。多分、先輩なのだろう。


それが僕と香歩さんの初めての出会いだった。