―ガラガラガラ―
桃乃木だ。
「いや、ビックリしたよ。
『お前、いきなり現れんなよ~』
って福田さんに注意された。」
笑みを隠そうと
唇をを少し尖らせ
笑いをこらえているヒカリ。
私は桃乃木を見ないようにしながら
笑ってた。
「ねぇ?桃乃木君♪」
笑いをごまかすように高いトーンで話しかける。
声が上ずってる。
「何?」
「お好み焼き、食べに行かない?」
ちらりと時計を見て桃乃木は首を振った。
「あ、ごめん。
俺ちょっと帰りに寄るところがあるから。」
「・・・そっか。」
「うん、また今度ね。」
ヒカリは少し残念そうだ。
「来ないの?」
「ゴメン美里。そろそろ帰らないとまずいから。」
コイツって時々付き合いが悪い。
母子家庭なんだし
家には話の分かるお母さんだけなんだから
言っておけば大丈夫だろうに。



