「そういえば、

桃乃木君は知らないかな?

美里の彼氏。

美里、教えてくれないんだよ。」
 
 
本当に久しぶりに会った人間に

何を聞いてるんだか。
 
 
桃乃木は知らないよ。

こういう話は

女の子にしかしていないんだから。
 
 
「もしかして桃乃木君が?

だったらお父さんは反対しなかったのに~」
 
 
「ちょっとそんなわけないじゃない。」
 
 
本当にずかずかと

私の事を話しているお父さんは

困った人だ。
 
 
「はっはっは、

それはそうと最近お母さん見ないけど元気?」
 
 
えぇ、まぁ。
 
 
と、返事をする桃乃木の顔の様子が

明らかに変だった。

唇が青い、

外寒かったし具合でも悪いのかな?
 
 
「そっかあれから12年かぁ。

月日が経つのは早いねぇ。

昔はみんなで桜公園によく行ったよねぇ」
 
 
のんきに笑っているお父さん。
 
 
「・・・ごめん。

おじさん、美里。

もう遅いから帰ります。」
 
 
「え?そ、そう?

美里を送ってくれてありがとね。」
 
 
そうお父さんが桃乃木に告げると、

桃乃木はそそくさと家を出てしまった。
 
 
「あら、桃乃木君帰っちゃったの?

シュークリーム嫌いだったかしら?」
 
 
お母さんの手には

ナイロン袋に入れられたお土産があった。