そう言うと教室に行ってしまった。
全く、いつも急に現れるんだから!
その姿を目で追う学子。
姿が見えなくなると
こっちを向いて話し出した。
「何かなぁ?告白?」
学子は興味津々。
面倒な。そんなわけない。
「あれが、桃乃木君?雰囲気変わったね~。」
と、ヒカリ。
そういえばヒカリが桃乃木に会うのは
高校来てから初めてだったかもしれない。
「そう?あんな感じじゃなかった?」
「そうかなぁ。
昔はもっと
かっこよくて
ニコニコしてた気がするなぁ。」
「かっこいい?
そうかなぁ?
確かに不愛想にはなったよね。
中学生くらいからかな?
何言っても『別に』
『たいしたこと無い』
『お前、頭悪い?』だもん。
全く、あの科学マニアめ。」
「あ~、そんな感じするする。」
するとみつばちゃんが口を開いた。
「でも、あの人、
市の科学グランプリで
特賞取ったんでしょ?
おにいちゃん、言ってたよ。」
すると学子とヒカリが私の顔を覗き込んだ。
「そうなの?」
初耳だ。私は首を横に振った。
「みつばちゃんの彼氏が
何で桃乃木なんかを知ってるのさ?」
「おにいちゃん科学部だから。」
そう言えば、
桃乃木も科学部に入るとか
何とか言ってたっけ。
俺、頑張るからって。
いったい何を頑張ってるんだか。



