「失礼しまぁす!!」


手で奥に詰めろと

桃乃木に指図しながら

桃乃木が座ってた椅子に座った。


「久しぶり!」


本当はゴメンとか

わざと避けててすいませんとか

謝らないといけないんだろうけど

無いことにした。


「おぅ。

あれ?

俺、アンタに母さんが入院している

って言った記憶が無いんだけど?」


桃乃木は体を起こし、壁に寄り掛かかりながら言った。


「調べたんだ~♪」


「ふ~ん?」


「ってか、ちゃんとアンタ言いなよ!

こんな大事なこと!!

ずっと黙ってるって最低だよ!!」


と言い桃乃木に右ストレートをかました。


「痛ッ」


ふふふって笑うもののすぐに咳き込む楓さん。


『ケホッ。ケホッ。』


楓さんの言ったとおり

桃乃木は喧嘩したことなんて

気にしてないみたいだった。


「お前、どこでその右手鍛えてきたんだ?

めっちゃ痛いんですけど?」


そりゃそうか桃乃木だもん。
 
それからたわいの無い会話。

ちょっと気になってたのは楓さんがよく咳込むこと。

悪化した上に風邪でもひいたのかな。

楓さんの顔を見ていられなくて窓のほうを見た。


「外、雨振りそうだね。」


とつぶやくと


「二人とも、暗くなる前に帰りなよ。」


と、楓さんが言った。