白守「その鏡、使わない方が良さそうだな。」

白守が、家庭科室の鏡を一瞥して言う。


由紀音「確かに………」

何か、嫌な予感がする。
霊感があるせいか、こういう予感は必ずと言って良いほど当たるから要注意だ。


白守「あれを調べるのか?」

由紀音「あの二枚の鏡で、会わせ鏡をするの。」
白守が、嫌そうな顔をする。

白守「止めておけ。あの鏡は、なんらかの妖具だ。異世界に飛ばされかねないぞ。」

由紀音「異世界じゃなくて、過去に飛ばされるかも………」

私は、軽く溜め息を吐いて二枚の鏡を向き合わせた。




白守「近付くな。鏡の間に空間の歪みが出来ている。飛ばされるぞ。」

由紀音「やっぱり………異空異時扉開今命我血。」

私は、空間の歪みを広げる呪文を唱えた。


途端に、鏡と鏡と間に黒い空間が現れる。



白守「馬鹿!何処に繋がっているか分からないんだぞ!」

白守が怒鳴り、小さく何かを呟いた。

直ぐに、空間の歪みが消え去る。
そして次の瞬間、鏡が砕け散った。


由紀音「白守?」

白守「興味本位で、空間の歪みを広げるな。向こうの世界から、どんな脅威が入ってくるか?此方の世界からどんな脅威が入っていくか分からない。」

白守が、真剣な表情で言ってきた。

由紀音「……ごめんなさい。」

私は、素直に謝り、鏡の破片を片付け始めた。



_