私が、自分の部屋に入ると白守は窓から外を眺めていた。

由紀音「白守、巫女やら契約やら言ってたけど、その話の前に、私達姉弟の過去の話を聞いてくれる?短期間であれ、長期間であれ、妖狐の姿をした貴方がこの家で過ごすなら必要な知識だから。」


白守「分かった。」

白守が、私の方を見て座り込んだ。
私も、白守の前に座る。


由紀音「もう、3年位前――私の弟冬夜が五歳の時の出来事なんだけど、私のお母さんは黒狐に殺されたの。それも、冬夜の目の前で。そして、去年の夏休み、私のお父さんは私と冬夜の目の前で死んだわ。自分の命と引き換えに黒狐を倒したのよ。」


白守は、由紀音の話を黙って聞いている。


由紀音「3年前の事件以来、冬夜は狐を毛嫌いしているし、邪悪な妖気を感じれば錯乱状態に陥る事もあるわ。お母さんを黒狐に殺された時の精神的なショックが原因みたいだけど。」


白守「私は、冬夜とお前に嫌われて当然だな。天狐とはいえ、妖狐と似たようなものだろう。」

白守が、私から目を逸らして言った。



由紀音「何を言ってるの?白守とあの黒狐は関係無いでしょ。」

そう、白守は関係無い………





_