由紀音「莢、ただいま。」

莢は家政婦をしてくれている座敷わらしだ。


莢「お帰りなさい。」

冬夜「お姉ちゃん!」


いきなり、私に冬夜――私の弟――が抱き付いてきた。
何時もの事なので、なんなく受け止める。


由紀音「まだ、起きていたの?寝ていて良かったのに。」

冬夜「一人じゃ、眠れないから。」

由紀音「莢がいるでしょ。」

冬夜「だけど………ねぇ、後ろの妖狐は誰?」

冬夜の瞳に、恐怖の色がちらつく。


白守「妖狐ではなく、天狐だ。」

由紀音「白守は、黙ってて。冬夜、彼は天狐の白守。この土地の守り神みたいなものよ。」


冬夜「守り……神………――神様なら、お母さんとお父さんを返せよ!お前の仲間にお母さんとお父さんは殺されたんだ!」

白守が、困惑した表情を浮かべた。

白守「どういうことだ?」

由紀音「白守には、後で説明するわ。私の部屋で待っていて。――莢、白守を私の部屋に案内してくれる?」

莢「はい。白守様、此方です。」

莢が、白守を二階に連れて行く。



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