そして、船長男は、 わたしの髪を一房すくうと それを自分に近づけ… そっと口づけた。 ふと、初めて 船長男の顔がよく見えた。 額から瞼にかけて古傷がある。 これまでの戦いで ついたものなんだろう。 「船長、ブルースが…!!」 急に船員が叫んだと同時に、 「テメェら、オレ様の獲物横取りするんじゃねーよ」 低く、響きのある声が聞こえたんだ――… 第一章終