だけど屋上は開いていなかった。 まぁ当たり前か……。管理人居ないし。 その代わり屋上の入り口の右側にある地学部の部室の前には上履きが二足置いてあった。 一つは成田の。もう一つは……? 私はいけないと思いつつも、入り口の扉に耳をくっつけ、聞き耳を立てた。 「……なあ、葵?なんで昨日男の車から出てき」 そこまで聞いた瞬間、私は逃げ出した。 現実から……。 本カノは、アオイって言うんだ。 一目でも会いたいなんて思うんじゃ無かった。