初夏 シュウはやはり不安定だった 私には一言も漏らさなかったけど落ち着かない雰囲気が家の中に漂う ある夜 ベッドの中でまどろんでいた私にシュウが告げた 「一度、あの町に帰省しようと思ってる」 葛藤の末の選択だと思った 「サキは……来る?」 シュウはきっと 私に付いて来て欲しくない でも 付いて来て欲しい 相反する気持ちで私に選択を委ねた 「うん、行く」 シュウをあの町に一人で行かせると、もう戻って来ないんじゃないかと不安になった