上を見上げて涙を堪える。

すると、たろうが来た。

「大丈夫か~?」

たろうの声を聞くと

余計涙腺が刺激されたが

我慢した。

「大丈夫やで~。

たろうちゃん、ちゅうしたい」

涙を隠すように酔っ払いのふりをした。

「あほか!

こんな所でできるか」

たろうは笑って言った。

「俺トイレ行くけど

ななはここおる?」

聞かれて私もトイレに向かった。

トイレは死角になっていて

トイレの前で私はたろうに

「ここやったらちゅうできるで」

そう言ってたろうに近づいた。

ドンっ!!

たろうの背中が壁に当たった。

それと同時に声がした。

「何してんねん」って。

それはたろうの声ではない…

振り返ると新人の作業員が居た。